Coffee brake

ゆるりと気ままに呟きます。

デイ・マルチドリーム・ビリーバー①

事の発端は飲み友達から。

人見知りをしないことに関しては、他の追随を許さぬわたし。飲み屋だろうがなんだろうが、誰かしらと何かしらで仲良くなる。

その中で親しくなった男性から、「今度仲良い奴らと集まるから飲まない?」と言われたのがきっかけだった。

爽やか好青年、社交的。
イケメンではないけれど、人望はあるのだろうなという感じの人だった。

「へぇー、楽しそうですね!」
と返し、たまたま誘われた日が早く仕事が終わる日で、たまたま職場の近くの場所だったことから誘いに乗った。
閉鎖的な業界で働いてはいれど、元々人と話すのが好きなので、別の仕事をしている人たちと話すのはとても楽しい。

それからというもの、彼からは1〜2週に1度は何かのイベントに誘われるようになった。しかしその時のわたしは「本当にひと月丸々休みがない」という勢いで働いていたため、なかなか話に乗ることはなかった。

そして幾ばくか時は流れ、山が落ち着いた頃。

「スポーツ観戦とか、興味ない?」

いい加減、誘いを断りまくっていることに罪悪感が芽生え始めた頃である。スポーツかぁ。ちょうど、その種目をしている子どもから色々話を聞いているところだった。これを機にルールなんて覚えたら、ちょうどいいのではないか。

「いいですね!」

かくしてわたしは某休日に、その場所へ向かった。

当日。

所用があったためにやや遅れて、その駅についた。他のみんなはもう中に入っているらしい。
そういえば、チケットについて聞いてなかったな、当日券があるのだろうか。


①チケット売り場が開いていない


あれぇ、招待制?
まぁそういうのもあるのか、とスポーツに疎いわたしは勝手に納得した。連絡すると程なくして彼があらわれた。

「お待たせ!これが今日のチケットだから、半券に名前だけ書いてくれたらいいよ!」

はーい、と返事をして受け取る。
するとそのチケットに書いてあった言葉が


ディストリビューター


ディストリビューター
どこかで聞いたことがある単語だ…。
だけどなんだか思い出せない。

とりあえず「招待」の欄に記名をして入場する。中に入ると、聞きなれない名前のエナジードリンクと栄養補助食品を渡された。
しかしまぁバンドクラスタのわたしは、当日ワンドリンクなどには慣れっこである。へー、コインを渡さんでも貰えるのね、優しい。くらいにしか思わない。

とにもかくにも!試合である!
わたしたちは中に入った。

アリーナの中央に整備されたコート。
ピカピカのそこにエモみを感じる間も無く、目には「supported by」の文字が入ってきた。


②協賛がマルチである


おおお、かの有名企業じゃないか!!!
よく見てみれば、あたりの上りなどにもめちゃめちゃその会社の名前が書いてある。もちろん、さっきもらったドリンクと補助食品にまで。
…いや、でもあれか?協賛してるだけで、直接的に関係してるとはまだわからないじゃんな?

「俺とかが提携してる会社が協賛でね」

提携、ふーん…。
と、考えていたわたしは思い出した。

ディストリビューター」。

これ、前に法学徒の後輩と【マルチ商法の説明会】に潜入した時に聞いた単語だ!!確かこれは、商品を購入しつつビジネスをする層に与えられる呼び方ではなかったか。
ていうかこんな「これ、進研ゼミでやった!!」みたいな感じで思い出すわたしって、もしかして優秀なのでは??頭、結構キレるのでは???

とにもかくにも、だ。
さっきのチケットを思い出せ。


ディストリビューターの欄に知人の名前が書いてある


あーーー!さっきわたしカタカナとはいえ「招待」の欄に自分の名前を書いた気がする!!?うっひゃーー!!!けどまだカタカナだからどうにかなる!!?

頭がぐるぐるしているうちに試合が始まった。

男女混合チーム、ないし男性チームが多い中、ガールズチームが奮闘していることで場内は盛り上がっていた。「あそこ応援しようぜ」という空気になり、遠くのコートを見つめる。

…?

あれ、

あれは…


④手を出していると噂が立っている、先輩同僚が選手として出ている


もはや時がたつほど黒になっていく。
熱気が冷めてしまう。取り戻したい。
そう思った時にハーフタイムショーが始まった。登場したのは名もなきラッパー。まぁ、マイナーな大会だったら仕方ないよね、と思いながら、マイクパフォーマンスに耳を傾ける。


⑤アメリカンウェイ

\\アメリカンウェイ//

\\アメリカンウェイ//

創始者云々、精神云々、
誰にでも与えられるチャンス

3600円から始める

アンチに負けるな
ピンチはチャンス!

\\アメリカンウェイ//

\\アメリカンウェイ//


ウワァァァァァアァァァァァァ
なーーーーんじゃこれはwwwwww

と、話そうと思い隣のお兄さんを見た。
何も反応していない。
えっ、と思って辺りを見渡した。
誰も騒いでいない。騒がないのだ。

何それ!!
アメリカンウェイってやばない?
3600円とかもろじゃない!!?
え、みんな面白いと思わないの、
やばいと思わないの、ねえねえ!!!


脳内でひとり騒いでいると、隣に座っていた年下くんが口を開いた。