春画展へ行った話 ①
巷で話題になっている春画展。
それに伴い、周囲で起こるわたし特需。
色んな人から春画展に誘われ、一回行ったというのにもう一回行こうとまで言われる。
それはなぜか。
「くずし字が読めるから」である。
おそらく以前、美術展で春画の脇に添えてあるくずし字を音読してしまい大恥をかいた、という話をみんなが覚えていたのだろう(「しゅんモノの悲劇」参照)。読んで解説してくれという。奴らは攻めた言葉を声に出すわたしの気持ちを考えたことがあるのだろうか。
そんなわけで先日行ってきた。
細川元総理が理事を務める永青文庫は、文京区は目白台の閑静な住宅街、ホテル椿山荘の近くに位置する。川沿いにのびる道を曲がり、林を通る緩い坂を越えた先に建物が見えた。よく見る広告にもなっている、鏡に映った足の絵。ここを切り取るとはなんともセンスを感じる。
いよいよ目前に控え、とんでもなくテンションが上がり始めた友人を記念撮影。多数のご応募をいただいた「わたしと行く春画展企画」だったが、見事同行権をゲットした彼は以前のバイト先の後輩だ。
採用理由は「春画への愛」と「プッシュの強さ」、「指定日時の都合がぴったりだったから」。どれも大事である。そのくらい押しを強くしていけるのであれば早いとこ彼女つくれ。
AM9:25。
こんな朝から、春画ガチ勢かよ、と言いながら入り口付近に到着。激混みと噂されていたので、まぁ早め集合の方がいいよねと開館5分前に着いたのに既に人だかりができている。休日だからだろうか。
開館までしばし待つ。
施設の方がそれまで展示の説明をしてくれる。丁寧な印象。静かにみんなが聞き入る。若い女性がかなり多いのは意外だ。
この集っている人たちの中でくずし字ガチ勢はどれほどいるだろうか。少なくとも、くずし字典を持っているのはわたしだけではないだろうか。
同行する彼の「くずし字を読んで、秘密の花園を解き明かしてくれるんでしょう!?」という期待の眼差しはハンパなく、ちょっと焦った。今は大学4年、ゼミでは現代文学を扱っており、くずし字からはしばらく離れていたので、カンを取り戻すために行きの電車で字典を読んでいたところ、周囲から怪訝な顔を向けられてつらかった。
いざ開館。
小さな美術館なので、15人ほどで区切られて案内される。ディズニーのアトラクションか何かみたい。芸術作品とはいえアダルトなものなので、受付で年齢確認をし、入館。
順路は四階から下る方式。建物自体が明治期あたりの雰囲気を醸し出していて興味深い。始まりのところには細川元総理の開催にあたっての挨拶が書いてある。世界初の春画展、彼も一役買ったのだろう。
友人「総理も春画大好きなんやろな」
それは語弊がある。
案内を見ると、どうも大英博物館などからもかなり作品がきているらしい。「世界が、先に驚いた。」良いコピーである。
そしてようやく、展示へ。
つづく